起立性調節障害と診断された、くいしばり癖の鍼治療




【 16歳 高校生男性 】

小学校6年生頃から起床時に頭痛・肩こり・眩暈・吐き気が頻繁に起こるようになり
病院にて 「 起立性調節障害 」 と診断される。

「 起立性調節障害 」 OD(orthostatic disturbance) とは、一般的に
自律神経失調の循環器系症状の総称となっており、思春期に多い病気とされています。


自律神経は交感神経と副交感神経のバランスと言われるように、活動・休養の交互バランスをとる為
体内システムに欠かせないものですが、「 起立性調節障害 」 は

著しい成長期に伴う「 自律神経の乱れ 」 に起因するとされている。


なぜ起きるのか?、そのメカニズムは解明されておらず
何らかの原因で血圧が上がらない 「 起立性低血圧 」 などの自律神経症状の他

不安感、やる気が出ない、イライラするなど精神的な症状も合わせて出やすくなると言われています。

また、起立性調節障害の症状が強くなると、学校に行けなくなるなど不登校の要因にもなっているようで
今回の患者さんも、起立性調節障害と診断されてから約5年間病院へ通院し

医師の治療を受けていたが、症状の改善なく不登校になっていったケースでした。

当院へは知人のご紹介で来院。





フラットバック姿勢・ストレートネック・テキストネック(スマホ首)の兆候も強く
また、くいしばり癖・顎関節症・口腔顔面痛(非歯源性疼痛)も有。

( 歯ぎしりもあり、お友達と電話中寝てしまった時に確認されている )

家族歴ではお母様が脊椎C字湾曲 【 医師の診断(通常はS字湾曲)】、お父様が頚部脊柱管狭窄症





上記症状と問診から

・頭痛/肩こり/テキストネック(スマホ首)には、後頭下筋群と頚部短背筋群への施術。
・頚性眩暈には、C1/2/3神経支配の後頭下筋群と頚椎横突起周囲への筋への施術(椎骨脳底動脈循環不全)
・吐き気には、C3/4/5周囲の筋(横隔神経)/T6~9の短背筋群・椎間関節包への施術。
・顎関節症には、顎関節/咬筋/顎二腹筋/顎舌骨筋などへ施術。
・くいしばり癖(歯ぎしり)/口腔顔面痛(非歯源性疼痛)には、側頭筋トリガーポイント・後頭下筋群(大後頭三叉syndrome)に施術。





2ヶ月間の間に計4回の鍼+筋膜リリースを用いた施術で起床時症状が大幅に改善。
歯科にてマウスピースの作成をお願いした。





起立性調節障害をネットで検索すると様々な原因が記載されている。

今回の治療では、現代医学的鍼灸に基づき関連する部位をしらみつぶしにアプローチしたもので
病院の治療で症状の改善に乏しい患者様は、くいしばり癖や歯ぎしりなどが原因による

トリガーポイント活性による筋筋膜疼痛症候群(MPS)の可能性もないか?と思われる治療経過だった。

日本人の60%がくいしばり癖があるとの統計調査報告もあり、思春期のストレスによる
就寝時の歯ぎしりが原因となって、くいしばり癖に移行するの可能性もあるかと思われます。

勿論、現代生活でもはや必需品となったスマートフォンへの依存による、テキストネック(スマホ首)や
フラットバック(ストレートネック)姿勢も関与していると思われますし
顎関節症や口腔顔面痛(非歯源性疼痛)からの可能性も否定出来ません。

自律神経の乱れの改善には、鍼治療でも ” このツボ(経穴)一穴 ” で改善するといった例は稀でしょうし
関連しそうな筋緊張の緩和を考え、鍼施術や筋膜リリースを行って改善していったケースです。


また、起立性調節障害の鑑別に必要な疾患にはシャイ・ドレーガー症候群があり
こちらは指定難病となっている。



治療家さん向け情報

院長

治療の機序に関しては、現代医学的鍼灸の師匠である「 あんご進級院 似田敦先生 」 のブログ
現代医学的鍼灸治療を参考になさってください。

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