逆子 ( 妊娠後期30週目 )




【 30才女性 】 妊娠後期30週目


患者さんのご紹介で、妊婦さんから 「 逆子治療はできますか? 」 と当院を訪れた。
産婦人科で逆子体操をしているが、変化に乏しく不安になって

産科医に 「 お灸で治るって聞いたことがある 」 と相談されたそうです。


鍼灸にもご理解のある産科医さんのようで、「 可能性があるならやってみましょう 」 と
当院を受診する運びとなりました。


逆子とは骨盤位のことで、正常な胎位は後頭部から産道を出て行くのが普通です。


胎児が小さいうちは、子宮の羊水の中で自由に位置を変える事ができるのですが
成長するにつれて子宮内にスペースが無くなり、妊娠7ヶ月頃になると

胎児の位置が固定されつつ逆子の有無が確定できると言われています。

また、逆子は7~8ヶ月で自然に自己回転する可能性もあります。


なぜ逆子 ( 骨盤位 ) の分娩が良くないのか? ですが
頭位分娩の死亡率と比べて約2~5倍になると言われるからで、逆子分娩は

「 先天性股関節脱臼 」 の原因にもなりやすい。

その為に帝王切開による分娩を選択することが多いようです。

また逆子の治療を鍼灸院に相談される方は、日本人だけではなく
宗教的な理由から自然な回復を望まれるという方もいらっしゃいます。


鍼灸での逆子治療は、「 妊娠後期28周以降 」 の妊婦さんが対象で
妊娠30週頃の妊婦さんの30%は逆子であり、10ヶ月に入る頃には5%程度に下がる。

通常は出産まで逆子体操を続け、自然に正常位になるのを期待するのが一般的です。
また、外回転術と言って外から胎児を矯正する方法もあるようです。

しかしこの方法では胎児仮死や胎盤剥離が起こる危険性もあり、現在はあまり行われず
帝王切開での分娩が増加しているとのこと。




  • ① 医師の同意をいただいてください。
  • ② 赤ちゃんの頭の位置が左右どちらを向いてるか。
  • ③ 臍の緒が赤ちゃんの首に巻き付いてないか。


これらを産婦人科でご確認の上、施術を行います。


そして対象となる期間は 「 28週~35週 」 までの妊婦さんとなります。

可能であれば、当院を午前に受診し午後から産婦人科で検診していただくと
赤ちゃんの状態変化もすぐにわかり、安全性も更に高くなりますのでお勧めしています。







お灸が初めてという患者さまでしたので、まず市販の千年灸で
足の 「 至陰 」 穴と 「 三陰交 」 穴というツボに施灸。

このツボ ( 経穴 ) は逆子の特効穴として知られ、体の陰陽のバランス転機に作用し
冷えに有効なことから婦人科疾患に良く用いられている。

刺激に慣れてきたら、本格的な施灸へと移りますが火傷防止の為に 「 紫雲膏 」 と言う
漢方成分の入った軟膏を塗って、その上に直接もぐさをのせて施灸します。

「 適度な刺激量 」 が難しく、数回内が最も効果が高い。
それ以後、刺激に慣れてしまうと効果は落ちてきます。


一度目はかなりお腹の中で動いたのですが、赤ちゃんはかえりませんでした。
そこで次回の来院まで、冷えの回復目的にソフトな千年灸をご自身で施灸するようお願いした。

二回目の施術でも反応はあったものの変わらず、引き続き自宅施灸を続けてもらいました。

患者さんもですが、こういう状況の時が一番モヤモヤします。


そして三回目の施術。 大きくお腹が動きました!
 
その日は午後から産婦人科で検診があり、無事に赤ちゃんが返りましたと連絡を頂けました。
ホットしました。